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【2016年10月号】東日本ブロック特集:景気の先行き不安からスポーツ車、軽快車販売ともに低迷
 

higashinihon1 年間需要台数475万4000台(本誌推定)とみられる東日本ブロックの18都道県(東京都、北海道と青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、山梨、長野、新潟、静岡各県)。この東日本ブロックでも、急激な円高の進行による完成車価格の値下げや過剰在庫を捌くための値引き販売を行ったメーカーや卸が多かったが、それでも消費者の財布の紐は固く、そこに台風に伴う豪雨など異常気象ともいえる天候不順が続き、販売にさらにブレーキがかかり、市場の低迷が続いた。とくに伸長が見込まれていたスポーツ車は投売りがみられるほどで、軽快車も減少傾向に歯止めがかかっていない状況だ。とは言え、メーカー販売サイドのP&A活用も含めた自転車によるライフスタイル提案など、チャンス創出はまだある。
 
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5000台以上の回収を行ったメーカーもあった欠陥ハブ搭載車トラブル
 
 アベノミクスの開始から既に3年半が経過したが、いまだに景気回復の実感はなく、アベノミクスの経済政策は失敗だったとみる業界関係者は多い。「実際、給料が上がらなければ何も変わらない。弱虫ペダル効果で多くの女性ユーザーがエントリースポーツ車を購入したが、続けて乗っている女性は10人のうち半分。ステップアップする女性は2人ぐらいだ。乗用環境が整備されていないこともあるが、高額商品の本格スポーツ車は可処分所得が多くないとステップアップや買い換えには限界がある」とある地方卸社長が言うように、東日本ブロックエリアでも軽快車の不振をカバーする手立てとして伸長が見込まれていたスポーツ車は景気の先行き不安から消費控えの傾向が強く、市場は供給過多の状況に陥ってしまい、過剰在庫を捌くために値引き販売が行われた。
 
 ましてや軽快車はさらに価格にシビアになっており、量販2万円、業販3万円という価格の市場適合性の壁は一層厳しさを増している。加えて、軽快車では異音や回転ズレを起こしてしまう不具合が発生した台湾・VPグループの中国・嘉善工場(MODUS)製欠陥シングルハブ搭載車トラブルが春需前の2月に浮上、東日本ブロックでも繁忙期と重なって卸商社などは回収や交換作業で大わらわだった。同ハブはカタログに乗らないプライベートブランド車種や量販店向けモデルなどへの搭載が多く、5000 台以上の回収を行ったメーカーもあり、9月時点になっても月1、2台程度の交換が続いている卸もある。
 
 また、軽快車では少子化から学校の統廃合が進み、通学距離や安全面からバス通学になるケースなどが多く、群馬・栃木エリアなどではまだ高額通学車の需要はそれほど減っていないが、その他のエリアでは減少の傾向がますます強くなっており、ある卸商社では「今春需は仕入数が少ないものほどなくなり、多く仕入れたものが残ってしまうという皮肉な結果になってしまった。小さな卸は得意先が固定化されていて良くも悪くも大きな変化はない。むしろ規模が大きくなれば変化が大きく、低迷市況の影響は大きい。このままでは皆が儲からない」という。
 
 こうした状況の打破にはP&A 活用も含めた自転車による楽しみ方、そしてライフスタイルの提案が不可欠だ。このため、全国区ではあるが、あさひでは今年4月から自転車を愛するスポーティな父親(チャリメン)を応援する「あさひチャリメン推進プロジェクト」を開始、雑誌「デイトナ」と所ジョージの自転車づくりで知られる東京・小平市の自転車ショップ「チムチムレーシング」、サイクルベースあさひとのコラボのパパチャリ「88CYCLE(ハチハチサイクル)」を発売し、8月から9月には女性を対象とした「オトナ女子の自転車のある生活キャンペーン」を展開、さらにアウトドアレジャーに向けて手軽に使える折りたたみ自転車「アウトランク」も発売している。
 
 また、ジャイアントではしまなみ海道のジャイアントストア今治、ジャイアントストア尾道、琵琶湖周回ルートのジャイアントストアびわ湖守山などと同じくスポーツサイクルのレンタル事業も展開する「ジャイアントストア前橋」を9月12 日にオープンした。同ストアは群馬県では初出店となるが、再開発が進むJR 前橋駅前で隣には立体駐輪場があるという立地に加え、サイクリングロードへの基地的なロケーションにあり、スポーツサイクルのレンタル事業も展開することによりサイクリングの振興を図ろうという戦略で、今後東日本ブロックエリアでも同様の出店が増えるとみられる。
 
青森ホンダ販売が自転車から撤退、卸、販売店ともに進む高齢化
 
 今年3月31日付で青森ホンダ販売(株)(青葉県十和田市)が自転車から撤退、花火などの火薬事業に特化することになった。同社経営者や従業員の高齢化が自転車からの撤退の大きな要因だが、販売店も東日本ブロックエリアには組合員の平均年齢が75 歳近いという自転車組合があるほどで、卸、販売店ともに高齢化が進み、後継者不足が大きな問題になっている。
 
 こうした状況下、自転車組合では神奈川県自転車商協同組合が組合員の確保に向けて賛助会員制度(期間1年間)を設け、今年9月から未加入のプロショップなどを対象に募集を行っている。同制度は高齢化などによる組合員の減少に歯止めをかける狙いで、賛助会員は一部を除き組合加入のメリットを享受できるという。また、同組合では来店者へのサービス提供で組合員顧客の囲い込みを目指した「バイシクルパスポート」(カード)を作成、販売する。このカードは店主判断でサービス項目が5項目の中から選択でき、有効期限を自由に設定できるところが目新しく、個店によってサービス内容も異なり他店との差別化にもつながる。
 
 
続きは、「サイクルプレスジャパン」2016年10月号で。
 
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