自転車業界誌発行 Cycle Press/サイクルプレス
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【2016年8/9月号】
100万台市場への“踊り場”を迎え、低迷するスポーツバイク市場
 

業界は今こそ息の長いスポーツ車伸長に向けてアマチュア競技者の拡大を
 
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 2016年、自転車業界は深刻な低迷局面を迎えることになった。軽快車不振をカバーする手立てとして電動アシスト自転車とともに伸び代を見込まれているスポーツ車市場は現在約60万台、いずれ100万台に到達するものと期待され、アマチュアレース、サイクリングイベントなど各地での盛り上がりぶりを見る限り着実に裾野が広がっている印象はあったが、実際のところは昨年後半あたりから多くの販売店では過剰在庫を抱え、メジャーブランドの投げ売りも見られた。2017年モデルの発表が行われる7月のタイミングで各メーカー、代理店、販売店等にスポーツ車市況を聞いても、その答えは総じて厳しいものだった。
 
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弱虫ペダルブームは終わったのか
 
 弱虫ペダルブームは終わったのかアニメ「弱虫ペダル」の人気は業界が仕掛けたものではなく、したがって誰もが長期的に続くものと安易に期待していたわけではなかった。2011年に発生した東日本大震災特需により2012年は各社強気な生産・販売体制を組んだことのあおりを受け、在庫がダブつくことになったが、その後調整期間を経て在庫問題は落ち着き、さらにここに弱ぺダ人気が貢献したのだ。これによってスポーツ車のバリエーションは拡大。その後、これらの層がステップアップしていくことでハイエンド機種やアクセサリー、ウエアなども活性化していった。
 
 だがそもそも、その前から健康や環境の面で自転車への関心は高まっており、自治体などが地域住民の健康づくり、そして町興しの一環のスポーツツーリズムとして自転車を推奨しイベントが盛んに行われる傾向はあった。それをさらに加速させたのが弱虫ペダルで、だからこそスポーツ車の入門編であるエントリーロードやクロスバイクに各社は注力しラインアップを拡大、輸入代理店は挙って、まだ国内で販売されていないブランドや浸透していないブランドに着手しはじめ、他業種からの新規参入もあった。また、競争相手が増えたことでブランドの認知度アップやフラッグシップにあたるハイエンドモデル開発など、差別化を図る手立ても促進されていった。そして、これまでプロショップで主に販売されていたスポーツ車は多店舗チェーンや量販店、さらに通販にまで拡大していった。各販売チャネルもブランドやラインアップの充実などで特色を出し差別化を図り、スポーツ車販売の拡大を目指した。
 
 ところがマーケットはそれほど単純ではなかったようだ。ここ数年で新たにスポーツ車に乗り始めたユーザーが皆、業界の目論見通りにステップアップしたわけではなく、実際には途中で乗るのを止めてしまったり、街乗りから先へ進まなかったユーザーも多いという。また景気も決して良いわけではなく消費控えの傾向が強いこともあり、2016 年のスポーツ車市場は明らかに供給過多の状況に陥ってしまった。2012年の際には過剰在庫を捌くために異例の大幅値下げ販売が行われたといわれているが、2016年も似たような状況に陥りつつあるようだ。
 
 販売店側はもちろん、できるだけ多彩なラインアップを揃えユーザーの選択肢を増やしたいと考えるが、大手ブランドは年間の販売台数を安定させるために販売店に対し、何台以上という契約上の縛りを設けている。これがまた販売店の過剰在庫を生む要因となり、2016年市場は、結果的に需要と供給のバランスを失ってしまい、メーカー間の競争が激しくなるあまり、かなり早い時期からのメジャーブランドの2016年モデル投売りなどでさらに市場が低迷していったと思われる。
 
 

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