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【2016年2月号】トップインタビュー:(株)シマノ 島野 容三 社長
 

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20160203_1 シマノの2015 年業績はあと僅かで確定し発表されるが、四半期ごとの発表をするたびに上方修正という右肩上がりの好調ぶりだ。すでに10 月末にリリースされた第3四半期(1~9月)の時点で通期売上げ予想は前年比80 億円増(10.5% 増)の3680 億円、経常利益も同40.1% 増の995億円と上方修正され、大幅な増収増益、史上最高の決算になることが確実とみられる。主因は、欧州市場が好天に恵まれ、STEPS やコンポの高価格帯ゾーンの売れ行きも順調だったこと、また米国需要も好調に拡大推移したこと、中国はスポーツタイプが低迷したが、ほかの有力な新興国市場は堅調に推移したことなどが挙げられる。それに5月に実施した製品の値上げ(5%アップ)も寄与した。別の視点からみれば、島野社長が就任以来、約15 年間にわたり着々と推進してきたトータル的な経営の改革・改善の積み上げが、ようやく実りを迎えたとの言い方もできよう。ともかく話題は業績回顧から始まって16 年展望、創業の地・堺にこだわった本社工場リニューアル、昆山工場の全面移転、フィリピン進出、中国の人件費高騰、ディレー解消、シマノ株価、TPP 発効の影響、e-Bike 展望、OVE 活動の意味、トップ人事etc. へと次から次へと広がりをみせていった。
 
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2016 年の業界景況は前半低調も後半にやや持ち直す予想の中、シマノは「1 ケタ台成長を目指す」
 
 ──史上空前の増収増益決算が確実となった背景は何か。
 「やはりヨーロッパの天候が良く、市場在庫が払底し、昨年前半に相当な在庫補充のオーダーをいただいたことが大きい。それに、上半期に投入したフルモデルチェンジのMTB コンポのDEORE XT やACERA、ロードコンポのTIAGRA、さらにDura Ace から105 までの上位機種などの売れ行きも好調だったことが業績を増進させる要因になったものと思う。ただ、必ずしも当社の経営努力が100% 反映してこの結果になったのではない。現在の売上高から言えば当社は円建て50%、海外生産分がドル建て50% の比率となるが、今期は為替による恩恵が差益の方に振れ、業績にプラスの方向に寄与したという面が大きい。もっとも鉄・アルミなどを中心に原材料市況の低位安定を挙げる人もいるが、円安によって割高に素材を購入しなければならないというマイナス要因もあり、これは一概に言えない」
 
 ──今年2016 年はどのような展開とみているか。
 「全体的な業界景況としてみれば、前半はやはり低調気味に推移するが、後半はやや持ち直すものと予想している。シマノも良くて1ケタ台成長の厳しい目標になると思う。下手をするとマイナスもありえる。」
 
 ── 2012 年のアベノミクス始動から3年、当時5000 円台だったシマノの株価は今では3倍強の水準となった。理由をどう考えるか。
 「1つは当社業績、2つ目には自転車に対する社会的な認知が高まったこと、3つ目には業界の将来性への関心の高まりにあると思う。さらに私が社長に就任して以来、総計で1000 億円ほどの自社株買いを実施したことも株主との間の信頼関係を一層高める結果となり、株価に反映したと理解している」
 

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